白波瀬小児科

草津市野村の小児科 白波瀬小児科

〒525-0027 滋賀県草津市野村8丁目9-37
TEL 077-561-0880

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診察室便り

2024/10/30
 きんもくせいの香が街に漂っています。 あたりを見回してみると、濃緑の葉の間にオレンジ色の小さな花の塊をたくさんつけた木を見つけることができるかもしれません。 でも、今年の秋は何か変です。 夏の今までにないような暑さを残した日々が最近まで続いていました。 夏の猛暑のせいでコオロギがうまく育つことができなかったのでしょうか、コオロギの鳴き声があまり広がらなかったように思います。
 感染症の流行も変でした。 夏の初めから手足口病の大流行が続き、最近でもまだ地域的な流行を見受けます。 しかも、繰り返し発症していることも稀ではありません。 このシーズンだけで3,4回の症状を生じた例もあります。 原因ウイルスが数種類同時に流行したことによると考えられます。 知識的にはありうることと理解できるのですが、実際にここまで広がったり、繰り返したりすることの経験はなかったように思います。 幸いなことは、髄膜炎や脳炎の合併症を発症した例はまれだったことでした。 合併症が生じなくても、ひどい口内炎で経口摂取ができなくなり、入院になった子どもたちが少なからずあったようです。
 
 インフルエンザワクチンのシーズンになりました。 今年のトピックスは、点鼻のインフルエンザワクチンが登場したことです。 海外ではすでに利用されていて、日本国内では個人輸入して自己責任で接種されている診療所がありました。 今年からは国内で認可されたワクチンが使われています。 点鼻ワクチンは‘生ワクチン’です。 病原性を弱めた生きたウイルスを利用しています。 両側の鼻腔内に0.1mlずつ吹き付けて、1回で終了です。 はじめは警戒していた子どもたちも、接種後はにこにこして帰っていきます。 2歳から18歳までの年齢の方だけが対象なことと、高額なことが残念な点です。 ただ、今年が初年度で生産量が少なかったため、すでに点鼻ワクチンは入手できなくなりました。 
 従来通りの皮下接種ワクチンは予約受付中です。 接種を考えられている場合は、どうぞご相談ください。


2024/8/25
 8月22日の二十四節気の処暑が過ぎ、暦の上では暑さも峠を越えることになっていますが、依然として熱中症警戒情報に気をつけねばならない日が続いています。 また、台風シーズンに入っていたり、急な雷や雨に遭遇することも多く、天気の変化を教えてくれるネット情報をありがたく感じます。 自然が相手なのでなかなか予報通りにはならないし、予報自体がころころと変わることには悩ましいのですが。
 
 手足口病が相変わらず流行しています。まず熱が出て、1,2日のうちに口内炎や四肢の皮疹が出てくることが多いのですが、人により症状の出方は様々です。 家族でも症状の出方が違ったり、繰り返し発症したり、皮疹の大きさや分布も様々で、これまでにないほど多彩です。 免疫を獲得しにくいという情報もありますが、手足口病の原因となるウイルスタイプが10種類以上もあり、複数回罹患することは不思議ではありません。 消化管でウイルスが活動するので、便から2,3週にわたって、ウイルスが検出されることがあります。 本人の症状が落ち着いた後も、感染力は残していますので、清潔が大事になります。 

 今シーズンの手足口病を見ていると、強い咳症状を伴っている場合が多いように感じます。 ネット情報では発熱は1/3くらいの頻度で、38.0程度までが多いと書かれていることが多いですが、それよりも発熱の頻度は高く、熱も39.0度を超えていることもしばしばです。 口内炎による痛みで経口摂取が難しくなると、決して軽い風邪とは言えないことも多く、しっかり症状経過を看ていくことが大切です。 特効薬がなく症状に合わせた対応しかできないため、軽症の場合は自宅での経過観察だけでも良いのですが、気になる様子が出た時(何か変と感じた時)にはかかりつけに受診するようにしましょう。

2024/7/16
 手足口病の流行が続いています。 人により、熱の出方、皮疹の出方、口内炎の出方がいろいろで、数種類のウイルスタイプタイプが同時流行しているように見えます。2種類のウイルスタイプが同時流行しているという報道もありましたが、3種類以上の様々な症状があるように感じています。兄弟姉妹でも症状が異なっていたり(口内炎や皮疹の広がりが様々)、1か月の間に2回目の手足口病と診断せざるを得ないときがあります。 口蓋垂付近の口内炎だけで皮疹のない場合は、ヘルパンギーナと診断されることもあります。
 手足口病はウイルス性の感染症で決まった治療薬がない(インフルエンザに対するタミフルなどの抗インフルエンザ薬のような治療薬がない)ので、症状に合わせた対応だけになります。 実際的には、発熱や咽喉の痛みで食べられない飲めない状態になるため、水分補給や飲み込みやすい食べ物を少しずつでも摂取することで、身体が弱るのを防ぐことが最も大切です。
 まれにではありますが、髄膜炎や脳炎といった入院や緊急を要する合併症を起こすことがあるので、表情をよく見るようにしてください。

 咳が頻繁に出て長引く風邪があります。小学高学年や中学生では例年より多くの百日咳を見かけています。百日咳の場合には症状の出ている期間を短くしたり、感染力を早く低下させる目的で、抗菌薬が必要になります。診断のためには鼻咽頭のぬぐい液(インフルエンザの迅速検査と同じような綿棒を使った鼻腔のぬぐい液)から遺伝子増幅法を利用した検査を行うこともありますので、ご協力ください。

2024/6/19
 劇症型溶連菌感染症が話題になっています。
 一般的な咽頭の溶連菌感染症は、幼児期や学童期によくみられる感染症です。その菌の性質からいくつかの種類に分類されますが、小児科で主に問題になるのはA群β溶血性連鎖球菌(GAS)です。 咽頭痛、発熱、発疹などの症状があります。 今でも抗菌薬で治療するのが標準的です。 多くの場合は治療により数日以内に元気になります。
 一方、劇症型溶連菌感染症は筋肉に強い炎症を起こしたり、菌血症を起こしたりして、急激に悪化し、時に生命にも影響します。 30歳以上に多く、皮膚の傷から溶連菌が感染したときに発症しやすいのではないかといわれていますが、まだ感染経路や病態に不明なことがあります。(小児には少ないのですが、10歳未満での発症例も報告されています。)
 以前は、咽頭の溶連菌感染症の場合には、溶連菌感染症を強く疑わせる咽頭発赤や発疹の出ている例が多かったのですが、最近は、症状は典型的ではないが、検査(迅速検査)をするとGASの反応が強く出る例をしばしば見るようになりました。 臨床診断が難しくなってきているので、溶連菌感染症を疑った時には迅速検査や培養検査を受けるように勧めています。 
 

2024/6/12
 昼間の日差しがすっかり強くなりました。夏日が続くことも予想されます。 一部の学校やこども園・保育園・幼稚園では、本格的な暑さの来る前のこの時期に運動会が実施されています。 新学期や新しい環境になってまだ慣れていないから、という意見もありましたが、イベントごとがクラスみんなの仲間意識をはぐくむきっかけになるともいえます。 この時期の運動会が熱中症対策にだけでなく、コミュニケーション対策にも役立つとよいなと思います。

 ここ数週間は、手足口病をとてもよく見かけます。 ウイルス性の感染症ですが、原因になるウイルスは10種類以上も知られています。 その年の流行のウイルスによって、熱や口内炎や皮膚症状の出方が様々です。 以前は発赤の中に米粒のような白っぽい水泡が手首や足首より先端側にできて、膝や肘やでん部にもできることがあるというのがほとんどだったのですが、最近では腕や脚全体や口周りにブツブツが広がり、時には体幹にも広がっている例が増えています。 今から10年位前にブツブツのひどい例が出始めたときには、ヘルペスやトビヒなどかと思えることがありました。(今でも、ヘルペスやトビヒの混在には気を付けないといけないと思いながら診察しています。)
 手足口病には特別な治療法がないので、経過を見ながらの対症療法になります。 熱が下がり、食事を普通に食べられるようになったら、登園や登校はできます。 しかし、原因になるウイルスは2,3週間は便から排出されるともいわれています。 他人に感染を広げないようになったから登園・登校してよいのではなく、本人が元気になったので、また2,3週も欠席を続けることが現実的ではないので、出席できると知っていてほしいです。(ヘルパンギーナも同様です。)
 感染拡大は容易には防げないですが、その集団で流行中のウイルスに対する免疫を持つ人がふえたら、だんだんに収束していくことが期待されます。
 手足口病は自然に改善に向かう感染症ではありますが、口内炎の痛みで水分が食事がうまく取れないと脱水症や低血糖症をおこしてしまうこともあります。 まれですが髄膜炎や脳炎を起こすことも知られています。 いつもと違う表情やぐったりした様子には注意してください。 未経験のウイルスの場合には成人でも感染してしまうのでお気を付けください。


2024/5/7
 5月5日が暦の上では立夏でした。 気温がぐんぐん上昇して、夕方からは少し肌寒さを感じることがあるものの、日中は半そで姿で十分になってきました。 まだ身体が気温の高さに慣れていないため(暑熱順化ができていないため)、油断していると熱中症になりやすいのもこの季節です。 水筒などを携帯して、水分補給をこまめにして、まだ大丈夫と思わずに、早めの休憩をとるようにしましょう。 日焼け対策も忘れないようにしてください。

 4月から新しいワクチンが登場しています。 4混ワクチン(DPT+iPV、ジフテリア/百日咳/破傷風/不活化ポリオ)にヒブワクチン(Hib、インフルエンザ菌B型)が加わった、5混ワクチン(DPT+iPV+Hib)です。 これまでの4混と同じ接種方法(生後2か月から開始)になります。 注射するワクチンが1本減ることになり、少し痛みの回数を軽減できます。 残念ながら、すでに「4混ワクチン+Hibワクチン」での接種を始めている場合には、原則として5混への変更はできません。
 また、肺炎球菌ワクチンが‘プレベナー13’から‘バクニュバンス’に変更になりました。 これまで13種類の肺炎球菌に対応したワクチンから15種類に対応するワクチンに変わりました。 肺炎球菌ワクチンはこれまでから、接種後に熱が出やすかったり、接種部位が腫れやすい傾向がありましたが、その頻度は今のところ、これまでと異なる様子はありません。 今年の8月ころから、20種類の肺炎球菌に対するワクチンが登場予定ですが、これを定期接種として利用できるかの行政からの通知がまだありません。 

 任意接種のワクチンに関しては、今年度の10月から、インフルエンザワクチンの点鼻生ワクチンが登場します。 2歳から18歳まで(19歳未満)が対象で、過去にインフルエンザワクチンの接種をしたことがある場合には、注射ではなく点鼻で、1回接種で完了します。 価格的にはこれまでの2回接種分の費用が必要そうです。 まだ添付文書が公開されていないため、詳細は分かりませんが、喘息症状の既往があったり、鼻水の多い状態などでは使用できないこともあります。 海外ではすでに数年前から使用されています。(アメリカでは49歳までが対象ですが日本では18歳までです。) 関心のある場合には、どうぞご質問ください。 現在わかっている範囲でお答えします。 (点鼻のため注射の痛みはありませんが、13歳以上の方には費用負担が増えることになりそうです。)
 

2023/10/28
 今年は夏の間にも、新型コロナウイルスの流行と同時に、インフルエンザを発症するひとも途切れませんでした。 9月の後半からは、インフルエンザが新型コロナウイルスの発症数を上回るようになっています。 当院でも、インフルエンザは毎日数名、新型コロナは週に1,2名の発症が確認されています。
 感染症については、定点(滋賀県が定めた医療機関)で患者を診断したときに週単位でその患者数を保健所に届けることで、流行状況が把握される仕組みになっています。 10月26日発行の報告では、滋賀県で、インフルエンザは週に 8.78人/定点医療機関あたり となっています。
ここのところ、学校やこども園などでの学級閉鎖の情報が増えていることからも、発熱している子どもたちの増えていることを実感されているのではないでしょうか。
 最近は、クラスの欠席者が増えても、「発熱者が増えた」という連絡だけで、具体的な原因が知らされないこともあるようです。 何が流行しているかがわかると、医療機関サイドにはありがたいのですが、残念なことです。 ただ、来院した子どもたちに尋ねると、「○○で休んでる。」と知っていることもしばしばなので、子どもたち情報がとても参考になることもあります。
 インフルエンザ以外では、溶連菌、アデノウィルスをよく見かけます。 喘鳴を伴う気管支炎の原因になるウイルス(RSウイルス、ヒトメタニューモウイルス)もときどきみつかります。 
 新型コロナウイルスの対策や対応がゆるやかになったことで、日常生活は送りやすくなりましたが、どの風邪であっても、肺炎や重症の合併症につながることがあります。 コロナ対策というより、風邪対策として、食事、睡眠、うがい、手洗い、マスク着用などの気配りを続けてほしいです。 何らかの不調を感じた時にはまず休養をとり、症状経過の思わしくないときには、医療機関への受診も考えてください。


2023/7/2
 昼の時間が最も長くなる夏至は6月21日で、すでに昼の時間は短くなり始めていますが、暑さのピークは7月後半からになります。
 今日は梅雨の中休みの晴天でした。 日中の日差しは強くて、とても暑い一日となりました。 水分を十分に準備して行動されていたでしょうか。 
 梅雨時期は熱中症にとてもなりやすい時期です。 日差しに注意して、水分も十分にあったとしても、私たちの身体が暑さに慣れていないと、熱中症の危険が高まります。 急に気温の高くなった時や湿度の高いときには、戸外での活動時間をいつもより短くするなど、無理をせず、まずすこしずつ、暑さに慣れるようにしましょう。
 外出を控えたら安全、というわけでもありません。 家の中での熱中症も数多く報告されています。 適宜に冷房を用いましょう。 夜の寝ている間の熱中症にも注意が必要です。 特に高齢者の夜間の熱中症がしばしば問題になっています。 節電も大切ですが、熱中症対策としてのエアコンなどの利用をためらわないようにしてください。



2023/4/9
 ヒトパピロマウイルスワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)の接種が小学6年生から高校1年生の女子を対象に、再び積極的に接種勧奨されています。
 これまでは2価ワクチン(サーバリックス)と4価ワクチン(ガーダシル)が採用されていました。
この4月からは、9価ワクチン(シルガード9)が新しく定期接種に加わりました。シルガード9は、これまでは任意接種として自費での接種が希望者に接種されていましたが、4月からは公費での接種になりました。 
 ヒトパピロマウイルスワクチンは接種後の有害事象の問題で接種勧奨されていなかったため、接種機会を逃された対象者には、あと2年間程度、公費接種のできる期間が延長されています。 高校2年生以上の女子で今からでも接種を希望される場合は、公費接種の期間延長の対象になっているか、かかりつけに問い合わせてみてください。。
 ワクチンの2価、4価、9価、というのは、ワクチンが対象としているウイルスの種類の数です。有効性、有効な期間、安全性などはいずれも厚労省の基準は満たしているものの、それぞれに特徴があります。接種方法や有害事象なども含めて、納得してから選択しましょう。
 

2023/4/5
 桜の花のピークが過ぎ、葉桜に移りつつあります。入学式に桜が満開というのも今は昔。ソメイヨシノの開花時期が昔より早まってしまっています。
 インフルエンザの流行のピークも過ぎたようです。新型コロナウイルスの流行が落ち着いていることも合わさって、さらにマスク着用の推奨される場所も限られてきて、春の陽気とともに気分も緩んできています。
 ただ、実際の新型コロナウイルス感染症の発生報告数は下げ止まりで、地域によっては増えている場所もあります。 今のところはまだ、新型コロナウイルス感染症と判明した時には自宅療養が必要です。 体調の変化を感じた時には、まず休養を取るようにしてください。 家庭内でも同居者との距離を取るようにしておいたほうが安全です。 
 今に限ったことではありませんが、流行中の病気に対しては敏感になるものの、それ以外のことには気が回らなくなっていることをしばしば見受けます。 体調の変化を感じた時には、その原因にかかわらず、まず休養をするようにしていただきたいです。

 今年は、花粉の量が多いこともあって、アレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎の症状を訴えている方が多く見受けられます。 風邪の症状と花粉症の症状には区別がつきにくいこともあります。 睡眠や普段の生活に不都合を感じた時には、受診を考えてみてください。 十分な睡眠や食事をとることは、免疫力を維持するのに役立ちます。

 最近、外来診療で気になるのは、RSウイルス感染症が少なくないことです。 午後からの熱の上昇が何日も繰り返され、昼夜ともに咳のひどい場合があります。 喘息に似た症状が出ているときはさらに疑われます。 RSウイルス以外にも同じような症状を呈するウイルスがありますが、いずれのウイルスでも対症療法が基本で同様の治療が行われます。 呼吸の苦しくなることや中耳炎を合併することもあるので、しっかり様子を見る必要があります。 RSウイルスにおいても季節性がなくなってきているようです。

2023/2/12
 最近受診される方の主訴(受診することになった理由)としては、発熱、嘔吐、腹痛が多くなっています。 発熱が主訴の子どものときには、周囲にインフルエンザの発症者が確認されている場合が増えていますが、コロナ感染症の発症者の情報や、発熱者との接触者のない場合などもいろいろあります。 このため、診察時にはインフルエンザとコロナウイルスの両方を検査することがしばしばです。 結果は、インフルエンザの検出される割合が増えていますが、コロナウイルスの検出される場合もほぼ毎日あります。 当院での、インフルエンザとコロナウイルスの同時検出例はありませんが、知り合いの診療所からは同時検出例があったという情報を受けています。
 嘔吐や腹痛が主訴のときには、ウイルス性の感染性胃腸炎の場合が多いのですが、インフルエンザやコロナウイルスの発症当初に嘔吐や腹痛を訴える場合もしばしばあり、胃腸風邪と決めてしまわないほうが良いこともあります。

 ここ1週の間に、溶連菌感染症が複数例ありました。 発熱を即インフルエンザとは決めつけず、いろいろの可能性を考えておく必要があります。 実際、発熱の原因となるウイルスや細菌はたくさんあり、検査で確認できるのは、ごくごく一部にしかすぎません。 
 原因にかかわらず、体調がいつもと違うときには、まず休養を取るようにしましょう。 そして、病院や診療所に受診したときには、検査が必要かどうか、いつどのような状態のときに検査を受けるべきか、症状観察や治療のしかたなど、医師とよく相談しましょう。 


2022/11/23
 発熱の子ども、咳のひどくなる子どもたちが目立ってきている印象があります。
 コロナウイルス感染症が再び拡大中のため、診療の難しい場面がしばしばです。 コロナウイルス流行の第7波の間にコロナウイルスにかかってしまっていた場合、免疫が残っているので安心、と思っている人に出会うことがあります。 しかし、免疫獲得が不十分であったり、オミクロン株の新しい系統のウイルスが増えつつあったりするため、再度コロナウイルにかかってしまうこともあります。 かからないという思い込みはせず、いろいろな可能性を考えて対処することが大切です。
 さらに、この冬にはインフルエンザの同時流行が心配されています。今のところ、おおきな流行ではないものの、あちらこちらでインフルエンザが見つかり始めています。 
 最近のコロナウイルスの症状を見ると、症状だけでインフルエンザと区別することは困難です。抗原定性検査をタイミングよく実施することが、診断に有効な手段となります。 診察される先生とよく相談をしましょう。

 コロナウイルス感染症を疑わせる症状が顕在していないときは、医療機関ではなく、薬局などから入手した検査キットで、自分で検査することになります。 陽性が出たときには、自分で患者登録をすることになりますが、対応方法がわからないときには、その後の症状の出たときのことも含めて、かかりつけ医にたずねてください。 患者登録ができておれば、支援センターと、症状悪化時の受診先を相談することができます。

 検査キットについては、コロナウイルスとインフルエンザウイルスの両方をチェックできるものも薬局などで入手できることになりそうです。 自己検査をしたときに心配されているのは、陽性の出たときよりも、陰性の結果のときです。 検査のタイミングや手技によっては、結果がうまく得られないこともあるので、体調の気になるときには、陰性であっても、まずしっかりと休養し、症状経過によっては医療機関で受診するようにしましょう。